平凸レンズのスポットライトについての解説です。
プラノコンベックスレンズ(Plano-Convex Lens)、PCとも呼ばれます。
分類上は「灯体 > スポットライト > レンズによる集光 > 平凸レンズ」となります。
(詳しくは「光学系による灯体分類」の記事をご覧ください)
平凸レンズのスポットライト | |||
仕込み図の記号 |
光の特徴と使われ方
平凸レンズスポットライトから出る光は、
- 輪郭(エッジ)のハッキリとした円形の被照面(ひしょうめん=照らされる面)を作る
- 影が比較的濃く出る
- 遠い距離から照らしても、余計な所へ光が散らばりにくい(集光性が高い)
という特徴があります。一番「スポットライトらしい」スポットライトです。
↑平凸レンズスポットライトで箱を照らす。光の輪郭(エッジ)がハッキリしている
このため、
- 舞台上のある一部分や、一人の人物だけを際立たせる目的
―「単サス」「○○ネライ」など。上の写真は典型的な「単サス」。ピンスポの代用として、動く役者を追う場合も - 大劇場で、比較的遠い距離から舞台の広い範囲を照らす目的
―「シーリング」「フロントサイド」「バルコニー」など - その他、とりあえずスポットライトが欲しい目的
―「SS」「PARライトの代用」「フレネルレンズの代用」
…などに使われます。
日本の公共ホールや大劇場ではほとんどの場合、平凸レンズスポットライトが一番多く置いてあります。このため、上に挙げた以外にもさまざまな目的に使われます。
平凸レンズを使う必然性が無くても、「とりあえず劇場にたくさんあるから」という理由で使われることも多いので、無理に「この目的は平凸だ!」と固くなる必要はないと思います。
実際、小劇場と呼ばれるタイプの劇場ではフレネルレンズの方が多かったりしますし、平凸にぼかしフィルターを入れれば、フレネルのような柔らかい光を作ることも可能です。
球面平凸と非球面平凸
平凸レンズのスポットライトは、フォーカスを絞った(レンズから電球を遠ざけた)時に、
- 被照面の中心部が暗くなる(中落ち現象)
- 被照面の隅の方が虹色になる(プリズム現象)
といった現象が起こることがあります。比較的古い機種では必ず起こります。
これは平凸レンズの形状が原因で、長らく解決できないものとされていましたが、レンズ製造技術の進歩により、これらの欠点を改善した「非球面平凸レンズ」が作られました。
比較的新しい機種や現行機種は、ほぼ全て非球面平凸レンズが使われています。
有名機種とニックネーム
平凸レンズの代表機種としては、
- 丸茂電機 / T1
- 丸茂電機 / CEC
- 丸茂電機 / CSQ (非球面平凸レンズ)
の3機種を覚えておけば大丈夫でしょう。CEC、CSQは500Wのものと1kWのものがあり、区別するときは「CEC-500W」のように末尾にワット数を付けて呼びます。
また、有名なニックネームとして、次のようなものがあります。
- ベビースポット、弁当箱…T1や、T1の模倣品に付けられる愛称。
- C-8(シーハチ)…「レンズ径8インチの平凸」全般に付けられる愛称。
平凸レンズスポットライトの歴史
※一度書いたのですが、推敲不足の感があったので、他のレンズスポットのことも勉強してから書き直そうと思います。
一応、htmlソースにはコメントアウトで残してあるので、どうしても見たい方はソースを見てください。
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