何度かTwitterで言及したことがありますが、筆者の最短小屋入り時間記録は5分間です。そんな状況はどのように発生したのか、少しデフォルメも入りますが、回顧したいと思います。
誤ってDX-1220を借りてしまった
ことの発端は知人からの1本のメールでした。「調光卓とユニットを借りたけど動かし方がわからない」的な内容だったと思います。
電話をして、色々と話を聞いていくと、以下のような状況だと分かりました。
- ある公演の簡易的な照明演出のために、調光卓と調光ユニットを借りている
- 灯体は500W×4発しか借りていない
- 調光ユニットは Lite-Puter / DX-1220 である
- 会場は公民館の集会室のような場所で、分電盤はいじることができない。壁のコンセントから電源を取ることは可能。
……機材の名称でピンときた方もいらっしゃると思いますが、DX-1220というのは中型の調光ユニットであり、通常は電気工事をして分電盤に直接つないで使用します。
▲ラックマウントされたDX-1220×2台と、カムロックコネクタ
よって、今回のような「一般の会議室・集会室で、灯体4発」の規模であれば、DX-402A や DP-415 を借りてくるべきでした。この電話の主は、借りる機材を間違えてしまったと言ってよいでしょう。
(後で事情を聞いてみると、この機材はある学生劇団から借りてきたもので、その劇団ではDX-1220を常用しているため、普通に「卓とユニットを貸してくれ」と言えばこれが出てくるということだったようです)
とにもかくにも、このままでは使えないだろうことは電話でよくわかりました。ではどうするか?
筆者の先輩に連絡して、適切な機材を貸し出してあげる方法もあります。
が、偶然にもこの時筆者はある小劇場で照明プランナー兼オペレーターをしており、マチネ(昼公演)~ソワレ(夜公演)間の休憩時間でした。
- 電話の主がいる会場までは自転車で20分ほど。
- 平行プラグと電線は持っている。
- 偶然にも、#3番のプラスドライバーも持っている。
条件は揃いました。多分これは僕が直接行って、DX-1220を壁コンセントから応急的に動かせるようにするのが一番早い。
そう思った筆者は、工具と電線の切れ端を持って飛び出したわけです。
DX-1220を応急的に動かす
さて、現場に着きました。聞いていた通り本当に集会室です。
通常は分電盤に直接接続する必要のあるDX-1220を、どうやって壁コンセントで起動させるか?
DX-1220のリアパネルには、E, N, V1, V2, V2’, V3 の入力端子があります。通常はここに分電盤から引いてきた太い電線 (幹線) を接続して使用します。
しかし筆者は経験的に、この端子のうち V3-N 間に100Vがかかっていれば、本体の制御系は起動し、かつディマーNo.9,10,11,12 の4ch分は調光できることを知っていました。
今回の規模 (灯体は500W×4発のみ) からして、この方法で 9~12 の4ch分を生かすことができれば十分に用は足りそうです。
前述した「平行プラグ、電線、#3のプラスドライバー」は、ここで使用します。
もちろん、このままV3-V2,V2-V1と渡り線を繋いでいけば12ch全部調光できますが、そこまでする意味はないので、ここまで。
あとは、コンセントにつないで、起動・調光できることを確認。
応急的な処置でユニット主幹にブレーカーが無いため、同時点灯は3台までに留めることなど基本的な注意点を連絡して終了。
ここまでで、現着から5分でした。これが「小屋入り最短記録5分」の概要です。
注意事項
- ここに書かれていることはあくまで応急処置なので、あまり真に受けないようにしてください。「本気で」DX-1220を壁コンで動かそうと思えば、ブレーカーや電線の選定などそれなりの対策が必要です。その想像ができない場合はやらない方が良いです。
- 今回は、DX-1220の背面端子に直接アクセスできる状態だったのでこの方法でできましたが、単相三線用に端子台を作ってあったり、カムロック化されていたりすると事情は異なります。
それでも、たまにこういう「知っていること自体に価値がある」系の人助けができると、気分が良いですね。
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