※照明ケーススタディは、筆者がこれまでに担当した照明プラン・オペレートの中から、一般化できる知見を紹介するシリーズです。
なるべく汎用性のある知見を紹介していくつもりですが、他の記事群に比べると「個」が強く出ることをご理解ください。
【公演データ】
本番時期:2012年10月
公演名:関西クィア映画祭
会場:京都大学西部講堂
筆者の立場:照明プランナー(即興)
仕込み図:
【記事テーマについて】
どうしてこのイベントの照明をやったのかよく覚えていませんが、「ちょっと手伝ってくれ」的なノリで、何も打ち合わせずにその場にあるものを仕込んだだけだったと思います。
映画祭なので、本質的には舞台演出照明は不要なのですが、幕間にスピーチやダンスパフォーマンスが挟まったりすると聞いて、それに使う分だけ仕込みました。
こういったイベントの場合、「舞台照明が必要だ」あるいは「必須ではないが、あった方がちょっと嬉しい」と思ってくれる人が主催側に少なかったりするので、往々にして全く照明無しで進行してしまったりするのですが、……
舞台照明をやっている人間からすれば、「ちょっとスピーチが挟まるんだけど」と聞けば「じゃあ単サスかピンスポがあればうれしいよね」とか、
「ちょっとパフォーマンスがあるんだけど」と聞けば「じゃあ色くらい変えれるようにしておこうか」という発想が自然と浮かぶわけで。
ぜひちょっとしたイベントにも舞台照明屋を呼んでほしいなあ!と思うところです。
舞台照明って、付加価値だと思うので。
閑話休題。
上に掲載している仕込み図は、たしか後から考えた「次があるならこうしようかな」的なもので、実際にはもっと簡素だったと思います。
フロントにWと#FR-4の2色、それにピンスポ。以上だったと思います。
しかも、スタンドを用意していなかったので、舞台前に立てた古い鉄製の脚立に吊りました。
(西部講堂は天井にバトンもあるのですが、登るのが大変で慣れていないと危ないのです。バラシに私が行けないので、それは断念しました)
この程度の照明しか無くても、「全体(地明かり)←→一部(サスやピン)」という照射範囲の対比による表現が可能ですし、全体明かりは2色用意しているので、その混色とピンの入れ具合次第では10パターン程度の照明シーンを作ることは可能でしょう。
ピンに専用オペレーターを付けて色を変えたりすれば、さらに演出の幅は広がります。
少ない照明リソースしか無くても、まずは「照射範囲の差をつける」ことができれば、舞台照明として最低限の用をなすことができるんだな、ということを強く意識したイベントでした。
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