※「舞台照明で覚えておくべき電線一覧」も併せてご覧ください。
【正式名称】ゴム平型コード/クロロプレンゴム絶縁平型コード
【意味の区切り】NN(クロロプレンゴム)・F(平型)・F(コード)
※「N」を2回重ねることで平形コードを表す
【現場での通称】平打ち/クロロ/耐熱コード
【舞台照明での使用可否】指針上不可だが、非常によく使われる
【混同に注意したい電線】HHFF
2sq : 20A(アンペア)
3.5sq : 市販無し
※sq=緕?(平方ミリメートル。電線の太さの単位)
【コメント】
VFF と同じく外皮(シース)はありませんが、クロロプレンゴムの耐熱性・丈夫さのため安心感があります。このため、「キャブタイヤだと重くて運搬・取り回しが困難」「キャブタイヤは体積が大きいので収納スペース的に困る」といったニーズに応える形で、小劇場を中心に劇場でも多く使われています。
しかし、舞台照明における注意点は3点あります。
1点めは、延長コードの作り方。C型や一部のT型コネクタはキャブタイヤケーブルの使用を前提としているため、外皮の無いNNFFでは「コードグリップ」部分が電線を押さえ込めません。このため、コードが強く引っ張られた時に、圧着端子部分から電線が抜けたりちぎれたりすることがあります。
これの対策は3つあります。
- ①コードグリップは無視して、断線のリスクを覚悟する。
- ②コードグリップにあたる部分に、キャブタイヤの外皮(シース)の屑をかぶせたりビニルテープを厚く巻いたりして直径を太くする。
- ③コードグリップを「( )」方向ではなく「( (」方向に付ける。
おすすめは②です。
2点めは、許容電流。2sqで20Aということになっていますが、実際に20A流すとそれなりに熱くなります。このため、自主的に15Aに制限して使っている劇場もあります。1本のコードに20A流れる可能性が少ない部分(短めの延長コード・二又コードなど)に使うのがよいでしょう。
とはいえ、外皮(シース)が無い分、放熱性能は若干良いので、巻いたりせずきちんと伸ばして使えば、20Aギリギリまで流しても何とかなります。
3点めは、HHFF という非常によく似た別の電線が存在すること。NNFFとHHFFを見分ける手段は、片方の芯線にだけ入っている糸の色です。
NNFFとHHFFには2本の芯線を区別するために片側にだけ銅線と一緒に糸を入れることになっています (JIS C 3301「ゴムコード」を参照)。この糸の色が白いものはNNFF、赤いものはHHFFです。
↑これは糸が白いのでNNFF
ちなみに、許容電流はHHFFの方が上だし、何ならHHFFの方が安かったりすることも多いので、なぜ舞台の人がそんなにNNFFを使うのかよく分かりません。世の中もっとHHFFが流行ればいいのになと思っています。
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