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【灯体の種類】フレネルレンズスポットライトについて

フレネルレンズのスポットライトについての解説です。

「フレネル」とは、フランスの物理学者の名前です。

分類上は「灯体 > スポットライト > レンズによる集光 > フレネルレンズ」となります。
(詳しくは「光学系による灯体分類」の記事をご覧ください)

フレネルレンズのスポットライト
oe031028 furenel-lens-photofurenel-lens-pic 仕込み図の記号
sy_fresnel4sy_fresnel1

 

目次

光の特徴と使われ方

フレネルレンズスポットライトから出る光は、

  • 輪郭のボンヤリとした(=ソフトエッジの)被照面を作る
  • 影がやや薄く出る(特に、照射範囲を広げて使う場合)
  • 遠い距離から照らすと、光が散らばっていきやすい

という特徴があります。スポットライトの中では、ややフラッドライトに近い傾向を持つライトです。
fresnel_beam

小川昇(1996)『光のデッサンから舞台照明のつくり方まで』p.15では、スポットライトとフラッドライトの中間として扱われています。

 

このため、

  • 舞台の真上や斜め上から、舞台の広い範囲を均等に照らす目的
    …「ナナメ(ブッチ)」「トップ(狭義の”地明かり”)」など
  • 舞台のある部分を際立たせたいが、輪郭のクッキリした光を嫌う場合
    …「○○エリア」など
  • その他、とりあえずスポットライトが欲しく、かつ輪郭がボンヤリしていてもよい場合
    …「SS」「コロガシ」「PARライトの代用」など

…などの目的に使われます。

また、フレネルレンズのスポットライトは総じて軽量・小型の機種が多いのが特徴です。このため、

  • 天井が低い小劇場
  • 機材ごと車で移動するようなツアー公演

でも、好んで使われます。
特に小劇場では、大劇場なら平凸が多用される「シーリング」や「フロントサイド」も、フレネルで作ることが多いです。(これは機材の大きさだけでなく、光の特徴なども関係していますが…)

 

有名機種とニックネーム

フレネルレンズの代表機種としては、

などがあります。また、コロガシ専用灯体である 丸茂電機 / FP も、フレネルレンズです。

フレネルレンズは平凸レンズに比べると有名機種が多く、丸茂電機のMF(国産最初期のフレネル)、DF、FQなどは代名詞化され、後継機種(FQF、FQHなど)や、他社の類似機種までこの名前で呼ばれることがあります

このため、劇場の機材リストにDFやFQと書いてあっても、本当に自分が知っている「DF」や「FQ」と同じものかどうか、確認が必要です。

平凸っぽいフレネル?

通常、フレネルレンズのスポットライトと言えば、「光の輪郭がボンヤリしたスポットライト」と紹介されるのが普通ですが、そうではない、比較的クッキリした輪郭の光を出すフレネルレンズも、少数ながら存在しています。

実は、フレネルレンズが輪郭のボンヤリした光を出せるのは、レンズの裏側に網目のようなデコボコを作り、それが「ぼかしフィルター」の役目を果たしているからです。

fresnel_amime

ということは、裏面の網目加工をしていないフレネルレンズは、平凸レンズに近い、比較的輪郭のクッキリした光を作ることができる、ということです。

このようなフレネルを、特に「ハードエッジフレネル」などと呼んで区別することがあります。

ハードエッジフレネルの灯体は、丸茂電機 / CEF 、丸茂電機 / HQE(ハイベックス)シリーズのハードタイプ、などがあります。

ただ、普通のフレネルに比べるとマイナーな存在なので、このブログでも特に明記しない限り、フレネルという言葉は、普通のフレネル(裏面網目加工をしたフレネル)という意味で使います。

フレネルレンズスポットライトの歴史

書きかけです。お楽しみに。

日本のフレネルレンズスポットライトの歴史は、実は戦後1950年代になってからなんですよ。

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この記事を書いた人

高校演劇~大学の学生劇団で照明を経験し、現在は会社員の傍らアマチュアで舞台照明を継続。第39回日本照明家協会賞舞台部門新人賞。非劇場空間の劇場化、舞台照明の歴史が得意。

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