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【調光卓の機能】2段・3段プリセット

調光卓の機能のうち、「2段プリセット」「3段プリセット」と呼ばれる機能について見てみましょう。これは調光卓にコンピュータが搭載される以前に考えられた古い機能ですが、その単純さと利便性から現在でも多くの調光卓が採用しています。

 

目次

あらかじめセット=プリセット!

照明オペレーターの負担を減らす方法として、次に使うシーンをあらかじめ何らかの方法でセットしておいて、ボタン一発で or フェーダー1本で呼び出せるようにしておく、という方法が考えられます。

この、あらかじめセットする=プリセット(preset)という考え方は、初めは「2段プリセット」と呼ばれる方法で実現されました。

 

2段プリセットの考え方としては、下の図のような感じです。

2preboard_idea

全く同じ調光卓が2台あって、同じ調光ユニットに向かって命令を出しています。

もし、2台の調光卓で命令がぶつかった場合(たとえば、調光卓Aはch.1=50%、調光卓Bはch.1=80% という命令を出している場合)、より明るさレベルの高い方(この場合、調光卓B)の命令を優先する、というルールを作っておきます。

 

こうすれば、

  • 最初のシーンは調光卓Aで作り、
  • 2番目のシーンは調光卓Bのマスターを 0% にして作っておき、
  • キッカケに合わせて、Aのマスターを下げながらBのマスターを上げる(クロスフェードする)

という操作をすることで、シーン1からシーン2へ、たった2本のフェーダー操作で移り変わることができます。

 

このはたらきを1台の調光卓の中に収めたものが、2段プリセット調光卓です。

2preboard

上の画像は架空の2段プリセット調光卓です。

 

左側の赤いフェーダー白いフェーダーが、それぞれA段(上段)・B段(下段)のマスターになっています。

さらに、Bマスター(白いフェーダー)は、ほかのフェーダーと逆さまに、上が0%、下が100%になっています。

こうすることで、AからBへ、BからAへのクロスフェードを簡単な上下運動だけで出来るようにしてあります。

(この上下運動のことを、「クロスを返す」と表現します。)

 

また、各チャンネルフェーダーの上には

  • 「P」=2段プリセット機能を利用する
  • 「F」=2段プリセット機能を使わない(グランドマスターにのみ支配される)

というスイッチを付けたものもあります。

 

もう1段増やして、3段プリセット!

2段プリセットの発展形として、「3段プリセット」もあります。

3preboard

上の画像は典型的な3段プリセット卓です。全く同じ内容のチャンネルフェーダーが、①②③の3段用意されています。

 

あれ?

 

段が3段に増えたのに、クロスフェーダーはA()とB()の2本だけですね。どういうことでしょうか。

 

これは、クロスフェーダーの隣にある「段選択スイッチ」を使って、A / Bクロスフェーダーが支配する段を選択することができるためです。

つまり、

  • シーン1は①段目、クロスフェーダーA
  • シーン2は②段目、クロスフェーダーB
  • シーン3は③段目、クロスフェーダーA
  • シーン4は①段目、クロスフェーダーB

……

ということを繰り返して使え、ということです。

動画だとよりイメージしやすいかと思います。5分ほどの動画にまとめてみましたので、ご覧ください。

 

動画が表示されない場合はこちら

 

PFGスイッチとは?

前回「【調光卓の機能】グループフェーダー」の記事で紹介した「グループフェーダー」という機能は、3段プリセット調光卓とよく併用されます。

日本の公共ホールなどにある調光卓は、一時期ほとんどがこの「グループフェーダー・3段プリセット併用タイプ」でした。

PFGboard

 

このタイプの調光卓では、各チャンネルフェーダーの上に

  • P=3段プリセット機能を利用する
  • F=フリー(グランドマスターのみに支配される)
  • G1 , G2 , G3 , … (卓によっては、G6くらいまである) =グループフェーダー機能を利用する

という切り替えスイッチが必ず付けられていました。

このスイッチを、PFGスイッチと呼びます。

3pre_pfg
↑典型的な3段プリセット・PFGスイッチ付き調光卓。

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この記事を書いた人

高校演劇~大学の学生劇団で照明を経験し、現在は会社員の傍らアマチュアで舞台照明を継続。第39回日本照明家協会賞舞台部門新人賞。非劇場空間の劇場化、舞台照明の歴史が得意。

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