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DMX信号を使うメリット

現在の舞台照明の操作には、「DMX512」と呼ばれるデジタル信号が使われていますが、この信号を使うことでどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

目次

まずは、DMX 信号の仕組みをおさらい

dmxの仕組み

調光卓は、フェーダーの状態を読み取って、「何ch(チャンネル)目の明るさを○○にしてくれ」という命令を送り続けます。この命令信号を「DMX信号」と呼びます。
調光卓から出された命令信号(DMX 信号)は、「DMX ケーブル」と呼ばれるケーブル(信号線)を通じて送られます。このケーブルは50m 程度までなら延長できます。

調光ユニットは、その命令信号(DMX 信号)を受け取って、命令に従って電圧を変化させます。
電圧が変化することにより、灯体の明るさが変わります。
また、調光ユニットは自分が受け取った命令と同じ命令を再送信します。これにより、いくつもの調光ユニットを「数珠繋ぎ」にして使うことができます。

 

 

DMX 機材を使うメリット

①規模や好みに応じて様々な調光卓が使える!

dmx特長1
DMX 信号を出すことができさえすれば、どんな調光卓を使っても構いません。
(6ch しか使えない小規模調光卓でもよいし、300ch ある大規模調光卓でもよいです。出ている信号は同じですから。)

 

パソコンを操作する場合も、別にどんなメーカーのマウスやキーボードを使っても大丈夫ですよね?それと同じです。

会場の規模や、演目の種類(演劇、音楽、ダンス、……)、そしてあなたの好みに合わせてコントローラーを選べます。
また、劇場の設備がDMXに対応していれば、使い慣れた自前の調光卓を持ち込むことも可能で、仕込み時間の短縮につながります。

 

②DMX ケーブルを延長すれば、遠くからオペ可能!

dmx特長2

調光卓と調光ユニットとの間は細い信号線1 本で繋がっているだけなので、好きな位置に調光卓を置けます。DMX ケーブルは、50m 程度までなら延長可能です。

 

③調光ユニットも、規模や好みによって選べる!

dmx特長3
DMX 信号に対応してさえいれば、どんな調光ユニットを使っても構いません。大劇場では数百ch あるような、部屋一杯使う調光ユニットを使います。

 

 

④壊れたら、壊れた部分だけ買い換えられる!

dmx特長6
フェーダーの調子が悪ければ調光卓だけを買いかえればよいし、ユニットが故障したらユニットだけを買いかえれば済みます。

 
年間予算が少なく、「丸ごと買い換え」ができない高校演劇部などには朗報です。

 

私が高校生の頃、演劇部は年間予算2万円以内で、繰り越しもできなかったので、「高い機材が買えない」気持ちはすごく分かります。

 

⑤調光ユニット以外にも、DMX対応機材はたくさんある!

dmx特長5

「DMX 信号を受けて、電圧を変化させ、明るさを変える」のが調光ユニット。例えば他には「DMX 信号を受けて、スモークを出す量を変える」スモークマシンなどもあります。

上の図のように次々とDMXケーブルを「数珠繋ぎ」にしていけば、全く異なる機能を持つ機器を、同じコントローラーで操作できるのです。

 

 

 

DMX 機材の価格帯

いくら性能が良くても、気になるのはお値段。高かったら導入できません。でも安心してください。DMX 機材は、高級品から低級品まで実にさまざまな価格帯の機種が発売されています。
プロが現場で使っても安心な高性能で安全性の高い製品はそれなりに値が張りますが、アマチュアでも簡単に買える、1万円台の調光卓や調光ユニットも販売されています。

もちろん高価なものに比べればいわば「安物」で、壊れやすいのは事実ですが、1万円台の調光卓でもプログラムした明かりを自動再生できたりして、手が足りないフェーダー操作から解放されます。壊れやすいとは言っても、「買いなおせばいいや」と思える値段と性能だと思います。

ea1a2c4905cb69ce6bde69466d784ad7←1万円台の照明卓。24チャンネル、シーン記憶付き。

 

DMX は完璧か?

ここまでDMX の良いところばかり紹介してきましたが、良いことばかりではありません。

 

・海外製品では、日本語マニュアルが不足しているor誤訳が多い場合も

・「個人で並行輸入して買ったので国内仕様に適合していない、サポートが期待できない」という場合

・「微妙に怪しげな業者から買ったのでサポートが(ry

・「電気を扱う危険な分野だから、安物の海外製品は使いたくない!」という意識(ちゃんとした輸入業者は日本仕様に改造した上で販売していますし、日本で普通に売っているものならPSE認証を取っているはずなので、とりあえずは大丈夫なんですけど。)

 

…などなど。

 

それに、いくら高級なDMX機材を買っても、「デジタル信号」という得体の知れなさに、「本番中にトラブルに見舞われたらどうしよう」と思う気持ちもあるかもしれません。

 

 

昔ながらの単純な調光機器で済む用途なら、その方が良い場合もあります。その辺りは、適材適所だと思います。

tz_6d←安全性と堅牢性から根強い人気の丸茂ディムパック

※無意識にDMX=海外製の安物、というイメージを植え付けるような記事になってしまいましたが、国産のDMX機器・超高級なDMX機器もたくさん存在します。

また、海外製品のサポートや要望・クレームに対する姿勢などは、輸入業者によりけりです。悪いイメージが付きがちな並行輸入でも、ちゃんとしていれば無問題です。この辺りは業者を見る目を養うしかないのですが。

お目当ての商品を扱っている良い感じの正規輸入代理店があるなら、そこから買うのが安心と言えるかもしれません。

あの「ソースフォー」だって、アメリカの製品ですが、日本の照明器具メーカーはきちんと日本仕様に改造して売っています。

 

今回の記事をpdfにしました。A4見開き1ページに収まります。

ぜひ、印刷してご覧ください。

ht

tp://lightingkizai.web.fc2.com/DMX_merit.pdf

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この記事を書いた人

高校演劇~大学の学生劇団で照明を経験し、現在は会社員の傍らアマチュアで舞台照明を継続。第39回日本照明家協会賞舞台部門新人賞。非劇場空間の劇場化、舞台照明の歴史が得意。

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