「単相3線を、単相3線のまま送れるコンセントは存在しないのかな?」と思っていた、過去の私のような人に向けた記事です。
結論から言うと、単相3線のコンセントというのは存在します。
NEMA L14-30
単相3線に正式に使用できるコネクタとして、アメリカの規格である「NEMA L14」系のコンセントがあります。
(ちなみに単相3線は英語で「Split phase」と言うようです。日本語では「分相」って感じの単語ですね。)
このうち、日本で気軽に手に入るのは、アメリカン電機の4314N-L14。定格30Aのコネクタです。
カタログにも「X-N 極間とY-N 極間を125V、X-Y極間を250Vの単相3線式で使用できます。」と書かれています。
NEMA規格上は20Aや50Aのコネクタもあるようですが、残念ながら日本では売っていません。
また、アメリカでは型のコネクタも単相3線に使うようですが、日本ではこの形(「个」型とでも言いましょうか)は古い三相電源に使われているので、これを勝手に単相3線で使うのは憚られます。
……
…記事としては以上なのですが、せっかくなので舞台照明的における単相3線について、以下に書きます。
舞台照明における単相3線
舞台照明で単相3線の電源(幹線)を直接取り扱うシチュエーションというのは大きく分けて3つあって、
だと思います。いずれも、既設のコンセントからではなく分電盤から直接電源を取得する場合を想定しています。
この時に、プロの現場では「カムロック」(Cam-lok) というアメリカEaton社のコネクタがよく使われます。
カムロックは単極のコネクタであり、単相3線の場合は当然、3個のコネクタを使う必要があります。
▲最下部の赤白黒緑のコネクタが、カムロック。単相3線+アースで4線
または、予算や設備など諸々の都合で、直接「組端子台」に電線をネジ止めする場合もあります。
劇場によっては、設備としてカムロックコンセントを用意するのではなく、直接ネジ止めすることを前提に、組端子台やノブ付き端子台を仮設用電源として備えているところもあるようです。
この場合でも、利用者の方で端子台のすぐ後段にカムロックに変換するボックスを取り付け、以後の配線はすべてカムロックとする場合もあります。たとえば照明会社などでカムロックケーブルを一式備えてしまっている場合は、そうした方が色々と便利だからです。
そんな大規模じゃなくていいけど…
上記のような方法は、いずれも単三100Aかそれ以上のそこそこ大容量電源が欲しい場合に使うものです。
しかもカムロックは正直、かなり良いお値段するので、アマチュアには普通使えません。
しかし、私の場合、「単相三線 30Aくらいがあればいいのにな」という規模の “ちょっとした仮設” が時々発生します。30Aと言っても、単相3線であればバランスとれば60A (6kVA) まで取れますからね。
こういう時に、もちろん舞台照明的に正当な方法である「C型30Aケーブルを2本引く」でも良いのですが、せっかくなら単相3線のままで延長できたら電線も軽くていいのになと思うことはあります。
それに、C型2本だと、単相2線×2本にバラされてしまうので、DX-1220とかに直接接続できなくなってしまいますしね。(やろうと思えばできますが、一度単相2線×2にバラしたものを再び単相3線に戻すのはなかなかリスキーな作業です)
そういうわけで、最初に紹介した NEMA L14-30 のような、単相3線を普通のコンセントと同じ感覚でサクッと使えるコネクタは、私にとってはそこそこ有難い存在です。
30Aであれば普通5.5sq、余裕を見ても8sqの電線を使えばよいので、「ちょっとした仮設だけど、分電盤が遠い…」という場合でもあまり辛くならずに長引きできそうです。
もちろん、3P2E 30Aのブレーカーボックスを作って、一緒に運用する前提です。
カムロックほどではないですが、コネクタが高いので、いずれ試します…
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