やっぱり「安い調光卓」を語るならこいつは外せません。
【SCENE SETTER】です。
いろいろなメーカーから同じ名前・ほぼ同じ機能の卓が出ているので、写真は代表で「STAGE EVOLUTION」のものと、「ELATION」のものを載せておきます。
↑STAGE EVOLUTION
↑ELATION
【機種名】SCENE SETTER
【メーカー】STAGE EVOLUTION / ELATION / American DJ / LSC など
【チャンネル数】24ch
【パッチ機能】ELATION製のみ○
(DMXアドレス512まで。いわゆるフルパッチが可能)
【シーン登録】○(12シーンx4ページ。下段12本のフェーダーがサブマスターを兼ねる)
【チェイス】○(この卓ではシーンとチェイスは同じ概念。シーンは「1ステップのチェイス」扱い)
【特徴】
◎チェイスが組みやすい
◎フェードタイムフェーダーのおかげで「客電を10秒かけてフェードアウト」などの操作がとても楽
◎上記2つの利点のおかげで、LED灯体の色がぬるぬるフェードで変わるチェイスにも向いている
・ELATION版のみパッチできる(ことを知らない人が多い)
・シーン順とフェードタイムを決めて本番ではGOを押すだけ…という使い方(シアタースタック)をする卓ではない
△下段12本はサブマスターを兼ねるので、本番中のシーン修正は上段12本しかできない
△操作が難解
△BLACK OUTボタンが厄介。瞬間停電や電圧降下に注意
△BLACK OUTの他にも、モード選択やSINGLE CHASE/MIX CHASEなど、設定ミスしやすい。罠が多い
【コメント】
安いし、まあそれなりにお芝居でも使えるということで、学生劇団御用達の卓と言ってもいいでしょう。
安いので壊れたりフェーダーがガリっても泣いちゃダメです。壊れたSCENE SETTERは部品取りにしましょう。
この卓には3つのモードがあり、ボタンを押して切り替えます。
1.上段12本はチャンネルフェーダー1~12、下段12本はサブマスター(シーンフェーダー)1~12。
2.12ch2段。2段プリセット卓。
3.24ch1段。全てチャンネルフェーダー。
3.の全シングルモードの状態でも、1.のサブマスターモードで使うためのシーンを登録できます。
つまり、シーン作りは3.のモードで行い、本番では1.のモードでシーンを再生するという使い方が主です。
2.の2段プリセットモードは、まず使いません。2回だけ使ったことがありますが、シーン登録機能が壊れた時(笑)と、照明オペを一度もやったことのない人に貸した時、だけです。高校演劇の人たちで、3段プリセットの練習をしたい場合には良いのでは。
某成田の通販屋さんがずっと最近まで「パッチ機能は無い」と表記していたこともあり、パッチができない卓だと勘違いされています。
京都の小劇場界隈でも2011年の暮れ頃まで知られていませんでした。
正確には、ELATIONのSCENE SETTERのみパッチができます。
【ELATION / SCENE SETTERにおけるパッチの仕方】
1.シーン登録モード(RECORDモード)に入る。(RECORD押しながら 4ケタの数字。初期設定は「1,6,6,8」)
2.RECORDモードに入った状態から、更に「RECORD押しながら 8,8,8」
3.パッチモードに入る。(画面に「001」と表示される)
4.「UP」「DOWN」ボタンを使ってDMXアドレスを選び(001~512)、そのアドレスを入れたいフェーダーの下のボタン(フラッシュボタン)を押す
※パッチ解除(アンパッチ)は、4.でフェーダーの下のボタンを押す代わりに盤面右下のBLACKOUTボタンを押します。
分かりにくいなあと思ったあなたの感覚は正しいです。
何せ基本的に「RECORDを押しながらフェーダーの下のボタンを正しい順序で押す」っていうSFマンガみたいなコマンド入力がすべてなんですもの。
ていうか、パッチ方法は本体の裏面に書いてあるんですけどね。(ELATIONに限る)
英語で書いてあるのと、「CHANNEL ASSIGNMENT」という見慣れない語(PATCHって書けよ!!)で説明しているのが原因です。
ちなみに、SCENE SETTER-48についても、ELATION版のみパッチ可能です。
あと、たまに「2つ以上のシーンを同時再生できない(クロスフェードできない)」と言って困っている方がいらっしゃいます。
そんなときは、
「SINGLE CHASE」「MIX CHASE」と書いてある部分を探して。
「SINGLE CHASE」が点灯していませんか?
「MIX CHASE」に切り替えてください。
だいたいこれが原因です。
他にも卓を再起動すると暗転する(BLACK OUTボタン)とか、あれこれ罠の多い卓なので、くれぐれも気を付けて使うべきだと思います。安いんだから、ユーザーフレンドリーとかそういうのを求めちゃダメってことね。
しかしこの卓、一体いくつのメーカーから出てるんだっていうくらいいろんなバージョンがあって、フェーダーつまみの形状とか少しずつ違うんですよね。
その辺の比較で一冊本書けるんじゃないかと思ってます(笑)
STAGE EVOLUTION ( ステージエボリューション ) / SCENESETTER (パッチ機能無し)
ELATION ( イレーション ) / SCENESETTER (パッチ機能有り)
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