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「足場の組立等作業従事者特別教育」をWebで受講した話

舞台・映画業界では「イントレ」と呼ばれる仮設足場ですが、現在、このイントレを含む足場の「組立て、解体又は変更に係る作業に従事する」場合は特別教育の受講が必須となっております。
この“特別教育”をWebで受講したレポートです。

目次

イントレとは

イントレとは何か、というのはGoogleで「イントレ」で画像検索するとすぐわかります。ライブ会場とかにいっぱい建ててある3階建てくらいの足場です。
舞台照明では、仮設現場に大量に建てて照明機材を設置する用途のほか、固定の天井バトンに灯体を吊り込む際に、車輪をつけた状態で使われます(ローリングタワー)。
特にタッパの高い小劇場の場合、高い脚立を使用して仕込むよりも効率が良いことから、劇場備品として持っていることも多くあります。

イントレと資格

イントレを含む仮設足場の組立・解体作業は、平成27年(2015年)7月以降、“特別教育”の受講修了者に限られることとなりました。よく言われる「イントレには資格が必要」というのは、この特別教育のことです。
ただし、2015年7月以前から既に作業に従事している人(一人親方、フリーランスを含む)は、2年間の経過措置がありました。
また、この改正以前から、5m以上の足場の組立解体時には「作業主任者」の資格を持った人が必要です。舞台でよく使う1524mm段のイントレの場合、4階建て以上ですね。
これらの資格は、イントレだけでなく、建築工事の時に建物を囲っている各種足場でも共通となります。
根拠となる法令は、「労働安全衛生法」の下にある「労働安全衛生規則(安衛則)」です。
基本的には事業者が労働者に対して(つまり、会社が社員に対して)守らせるべき規則、つまり事業者向けの規則です。

Web講座

この“特別教育”は、通常6時間の座学講義を受ければ誰でも資格を取ることができます。
年中どこかの会場で座学講義が行われていますので、そこに申し込んで参加すれば良いのですが、このご時世なのでWeb講座を受講することにしました。
受講したのは、CECC 建設不動産総合研修センターが実施している講座です。
受講料は記事執筆時点で7,700円(税込)。ネット通販と同じくクレジットカードで支払いができます。
早速申し込むと、メールアドレス宛に本登録の案内が送られてきて、これを済ませるとログインできるようになります。よくあるWebサービスと同じですね。
足場申し込みメール

講座の内容

講座内容は、受講者専用のWebページから動画を視聴できるので、これを全て視聴すればクリアとなります。
足場メニュー
1本の動画はだいたい45分縲鰀1時間ちょっと程度で、確か8本あったと思います。うち1本は「講師からのメッセージ」というエピローグ的な動画なので、実質7本で6時間分ですね。
添付のテキストをタブレットで開きながら受講するのがオススメです。このテキストは受講後もPDFで手元に残るので、紙の資料よりも参照しやすくて良いですね。
足場受講風景
注意事項は、動画を最後の1秒まで見切らないとカウントされません。
私は一度、残り10秒くらいで映像がフェードアウトしていく時にうっかりブラウザバックしてしまって、もう一度見返す羽目になりました。
また、孤独に視聴を続けるのはまあまあしんどいので、2縲鰀3日に分けて視聴することをおすすめします。申込日から60日間有効なので。

受講後の手続き

受講後は、

  • 修了考査
  • 受講報告書
  • 修了者情報入力票

の3種類の書類提出が求められます。
修了考査は、講座のおさらい的なクイズで、暗記する必要はなく、テキストを参照しながら答えればOKです。
受講報告書は、きちんと受講をしましたよという宣言の紙です。ここで何と、個人の場合は第三者による署名と押印が必要です。印刷して記名押印してスキャンするという最悪のオペレーションが推奨されていて、いかにも日本という感じでした。
修了者情報入力票は、ライセンスカードに掲載される写真を貼付するExcelです。これもExcelのセルに証明写真を貼り付けるという野暮ったい仕様になっております。
上記3種類の書類をまとめてZipで圧縮し、メールに添付して指定のアドレス宛に送信することで、受講完了となります。
何でWebサービスからアップロードさせてくれないんですかね……
あとはライセンスカードが届くのを待つのみです。
新型コロナの影響で通常よりも発送に時間がかかるという旨がメールに書いてありました。

感想

受講した感想としては、建築業関係の話題がほとんどで舞台関係者には直接関係ない話題も多かったですが、通底する安全基準や意識については一通り学ぶことができたので有意義ではありました。
また、枠組足場(イントレも枠組足場の一種)のパーツの正式名称を知ることが出来た点も良かったと思います。あの門みたいなやつを「建地(たてじ)」って呼ぶのとか、知らなかったので。
あとは素朴な感想ですが、いわゆる“とび職”の人が使うめちゃ細い足場とかが平然と紹介されていて、すごい業界だなと思いました。
研修会場に行って受講するタイプの講座とどちらが良いかは、個人によると思います。

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この記事を書いた人

高校演劇~大学の学生劇団で照明を経験し、現在は会社員の傍らアマチュアで舞台照明を継続。第39回日本照明家協会賞舞台部門新人賞。非劇場空間の劇場化、舞台照明の歴史が得意。

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