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【舞台照明】はじめてのLEDテープ

最近、Amazonとかでこういう(↓)LEDテープがものすごく安く買えるんですけど、
led_tape1
これを舞台照明に導入する最初のところって、そういえばあんまり解説されていなかった気がするので、ここで解説しておきます。

 

個人的に、「高校の文化祭などで低予算のライブ照明をやる時、LEDテープは最適ではないか」と思っているのですが、それについても下の方で述べます。

 

目次

システム構成

ざっくり言うと、下の図のとおりです。
dmx_ledtape_system
ちなみに、参考までにふつうの(白熱電球/ハロゲン電球の)灯体を調光する場合のシステムも載せておきます。
dmx_tungsten_system

こうして並べてみると、大して変わらないですよね。

LEDテープが交流(AC)ではなく直流(DC)で動くので、ACをDCに変換する部分と、
DC専用の調光器(PWM調光器)が使われていますが、それ以外はほとんど同じです。

(ちなみに、「ACをDCに変換する部分」というのは、世間的に「ACアダプター」と呼ばれているものと同じです)

けっこう、お手軽に出来そうな感じがしませんか??

必要なもの

  1. AC→DC変換 (スイッチング電源、ACアダプター)
    ac100vdc12v
    DC12VまたはDC24Vのものを買いましょう。ここで12Vを選ぶか24Vを選ぶかによって、購入するLEDテープも変わりますのでご注意を。
    12Vを選んだ場合は12V用のLEDテープを、24Vを選んだ場合は24V用のLEDテープを購入することになります。

    大量のLEDテープで空間を埋め尽くしたい場合は、24Vをおすすめします。なぜなら、電源容量は電流(アンペア)で決まっており、
    電圧(V)が高い方が同じワット数に対して電流(A)が少なくて済むからです。

    一方、12Vの場合、スマホのバッテリー(5V)から昇圧して使ったり、普通乗用車のバッテリー(12V)から駆動できるなど地味なメリットがあります。

    なお、LEDテープに小さなACアダプターが付属してくる場合もあります。その場合はそれを使っても構いません。
    が、テープに付属してくるものは容量が小さく、そのテープ1本分の容量しかありません。
    お試しならいいですが、本格的にやるなら15A程度のスイッチング電源を買いましょう。

  2. DMX-PWM調光器
    dmxpwm
    よく「DMX-PWMデコーダー」とか呼ばれますが、役割的にはデコーダーではなく調光装置なので、私はデコーダーとは呼びません。
    ただし、「デコーダー」「DMX decoder」等で検索した方がヒットしやすいので、購入時はそれで検索しましょう。

    1ch~24chくらいまで様々なタイプが売っていますが、RGBのLEDテープを制御する場合、3ch必要です。なので3ch程度のものを選べばよいでしょう。
    当然ながら、1台の調光器で無限にテープを使えるわけではないので、容量オーバーになる場合複数台必要です。

  3. LEDテープ
    led_tape1
    この写真のやつはACアダプタが付属していますね。リモコンも付いてくるようですが、調光卓で操作する場合不要ですので、無いものを買いましょう。
    5mとか、けっこう長いものでもかなり安く買えてしまったりします。その分、電源やPWM調光器がたくさん必要ですが……
    教室や体育館を異世界にするのもそんなに苦じゃないかも!?

  4. DMX調光卓
    シーンセッターでもなんでもいいです。お好きなものを。今使っているものがあればそれで充分です。
  5. DMXケーブル
    マイクケーブルで代用して構いません。

 

 

 

結線

必要な工具・道具

  • プラスドライバー(#1)
  • マイナスドライバー(3.0mm~3.5mm)
  • 電線
  • 平行コネクタ(♂)
  • LED結線用コネクタ(必要に応じて)
  1. 全体の結線写真
    zentai_connect
  2. スイッチング電源の結線
    acdc_connnect
    「AC INPUT」のところに、AC100Vコンセントからの配線を接続します。写真では一番右側の、茶色と青の電線です。
    電線の種類はVFFなど、どこでも手に入るもので十分です。面倒なら、既製品の延長コードを切断して使っても構いません。

    「DC OUTPUT」のところに、PWM調光器へ向かう電線を接続します。写真では赤と緑の電線です。
    片方を+、片方を-に繋ぐのをお間違えなく。
    こちらは最大15アンペアまで流れるで、電線の太さは2sq以上のものを選びましょう。

  3. PWM調光器の結線
    dmxpwm_connect
    「INPUT」のところに、スイッチング電源から来た電線を接続します。写真では赤と緑の電線です。
    写真では少し銅線が見えてしまっていますが、こうならないように被覆剥きの長さを調節してください。

    もし、テープに付属してくる小型のACアダプターを使う場合、こんな形状↓のDCコネクターが付いているかもしれませんが、
    DCplug
    その場合は切断してしまうか、ペアになるコネクターを探してきて「INPUT」に接続してあげましょう。

    「OUTPUT」には、LEDテープへの配線を接続します。
    マイナス側(COM)の端子は1個しかありませんので、マイナス側は多くなってもすべて「COM」のところにねじ込みます。

 

 

これで、PWM調光器のDMXアドレスを設定してあげれば、調光可能になるはずです。
LEDtape_lighting
上の写真では、調光卓を繋がずに本体の設定で光らせています。そういうことができるPWM調光器もあります。

ただしこのままだと、電源~LEDテープまで全部ねじ止めで、現場の運用上不便なので、
必要に応じて間にコネクターを挟んで簡単に分離できるようにしましょう。
(現場で快適な運用ができるように考えて機材をいじるのも、舞台照明の醍醐味のひとつですね)

 

LEDテープは文化祭に最適!?

最初に述べたように、個人的に「高校の文化祭などで低予算のライブ照明をやる時、LEDテープは最適ではないか」と思っています。

こちらのツイートをご覧ください。

 

ムービングライトやレーザーの派手さに目が行きがちですが、会場じゅうに張り巡らされたLEDテープに注目。
体育館を完全に異空間にしているのがよく分かりますよね。

会場のテンションを揺さぶるには、このように「空間を巻き込んだ照明効果」が必要です。

照明機材の活用と言うと、どうしても「サスバトン」「ホリゾント」といった舞台の内側のことばかり考えがちですが、
特に学校にありがちな体育館舞台の場合、舞台の内側の照明だけでは「会場全体の盛り上がり」に限界があります。
予算も相当に必要です。

そこで、あえてLEDテープから揃えてみるのもアリじゃないかと、個人的には思うのです。

さすがに体育館をいっぱいにするには、数百メートル分のLEDテープが必要なので、予算もそれなりにかかってくるかもしれませんが……

まあ、そういう考え方もあるんだなという程度に、頭に入れておいてもらえれば。


※LEDテープは明るさ的にあくまで「見せ明かり」だと思ってください。照明としての役割、つまり「人を照らす明かり」「地明かりの代用」のようなことを考えるとガッカリします。

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この記事を書いた人

高校演劇~大学の学生劇団で照明を経験し、現在は会社員の傍らアマチュアで舞台照明を継続。第39回日本照明家協会賞舞台部門新人賞。非劇場空間の劇場化、舞台照明の歴史が得意。

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