最近、Amazonとかでこういう(↓)LEDテープがものすごく安く買えるんですけど、
これを舞台照明に導入する最初のところって、そういえばあんまり解説されていなかった気がするので、ここで解説しておきます。
個人的に、「高校の文化祭などで低予算のライブ照明をやる時、LEDテープは最適ではないか」と思っているのですが、それについても下の方で述べます。
システム構成
ざっくり言うと、下の図のとおりです。
ちなみに、参考までにふつうの(白熱電球/ハロゲン電球の)灯体を調光する場合のシステムも載せておきます。
こうして並べてみると、大して変わらないですよね。
LEDテープが交流(AC)ではなく直流(DC)で動くので、ACをDCに変換するスイッチング電源と、
DC専用の調光器(PWM調光器)が使われていますが、それ以外はほとんど同じです。
けっこう、お手軽に出来そうな感じがしませんか??
必要なもの
- AC→DC変換 (スイッチング電源、ACアダプター)
DC12VまたはDC24Vのものを買いましょう。ここで12Vを選ぶか24Vを選ぶかによって、購入するLEDテープも変わりますのでご注意を。
12Vを選んだ場合は12V用のLEDテープを、24Vを選んだ場合は24V用のLEDテープを購入することになります。大量のLEDテープで空間を埋め尽くしたい場合は、24Vをおすすめします。なぜなら、電源容量は電流(アンペア)で決まっており、
電圧(V)が高い方が同じワット数に対して電流(A)が少なくて済むからです。一方、12Vの場合、テープの選択肢が多い場合もあります。
なお、LEDテープに小さなACアダプターが付属してくる場合もあります。その場合はそれを使っても構いません。
が、テープに付属してくるものは容量が小さく、そのテープ1本分の容量しかありません。
お試しならいいですが、本格的にやるなら15A程度のスイッチング電源を買いましょう。 - DMX-PWM調光器
よく「DMX-PWMデコーダー」とか呼ばれますが、役割的にはデコーダーではなく調光装置なので、私はデコーダーとは呼びません。
ただし、「デコーダー」「DMX decoder」等で検索した方がヒットしやすいので、購入時はそれで検索しましょう。1ch~24chくらいまで様々なタイプが売っていますが、RGBのLEDテープを制御する場合、3ch必要です。なので3ch程度のものを選べばよいでしょう。
当然ながら、1台の調光器で無限にテープを使えるわけではないので、容量オーバーになる場合複数台必要です。 - LEDテープ
この写真のものはACアダプタが付属していますね。リモコンも付いてくるようですが、調光卓で操作する場合不要です。
5mなど、長いものでもかなり安く買えてしまったりします。その分、電源やPWM調光器がたくさん必要ですが……
教室や体育館を異世界にするのもそんなに苦じゃないかも!? - DMX調光卓
- DMXケーブル
結線
必要な工具・道具
- プラスドライバー(#1)
- マイナスドライバー(3.0mm~3.5mm)
- 電線
- 平行コネクタ(♂)
- LED結線用コネクタ(必要に応じて)
- 全体の結線写真
- スイッチング電源の結線
「AC INPUT」のところに、AC100Vコンセントからの配線を接続します。写真では一番右側の、茶色と青の電線です。
電線の種類はVFFなど、どこでも手に入るもので十分ですが、舞台での使用を考えると、もう少しまともな電線を使うべきかもしれません。「DC OUTPUT」のところに、PWM調光器へ向かう電線を接続します。写真では赤と緑の電線です。
片方を+、片方を-に繋ぐのをお間違えなく。
こちらは最大15アンペアまで流れるで、電線の太さは2sq以上のものを選びましょう。 - PWM調光器の結線
「INPUT」のところに、スイッチング電源から来た電線を接続します。写真では赤と緑の電線です。
写真では少し銅線が見えてしまっていますが、こうならないように被覆剥きの長さを調節するか、恒久的に使用するのであれば、この手の端子台(ユーロブロック)用の圧着端子を付けることが望ましいです。もし、テープに付属してくる小型のACアダプターを使う場合、こんな形状↓のDCコネクターが付いているかもしれませんが、
その場合は切断してしまうか、ペアになるコネクターを探してきて「INPUT」に接続してあげましょう。「OUTPUT」には、LEDテープへの配線を接続します。
マイナス側(COM)の端子は1個しかありませんので、マイナス側は多くなってもすべて「COM」のところにねじ込むしかありません。
これで、PWM調光器のDMXアドレスを設定してあげれば、調光可能になるはずです。
上の写真では、調光卓を繋がずに本体の設定で光らせています。そういうことができるPWM調光器もあります。
ただしこのままだと、電源~LEDテープまで全部ねじ止めで、現場の運用上不便なので、
必要に応じて間にコネクターを挟んで簡単に分離できるようにしましょう。
(現場で快適な運用ができるように考えて機材をいじるのも、舞台照明の醍醐味のひとつですね)
LEDテープは文化祭に最適!?
最初に述べたように、個人的に「高校の文化祭などで低予算のライブ照明をやる時、LEDテープは最適ではないか」と思っています。
こちらのツイートをご覧ください。
西高送別会の写真を時系列順に掲載します。一部2年前の画像も含みます。卒業生入場から退場までのフル動画DVDは生徒会役員と放送部員などに渡してます。
ダイジェスト動画は以下で公開中。
2017年https://t.co/RBFoGFknPT
2016年https://t.co/tSbNsyDBCl
音楽部LIVE後半https://t.co/1uP43ax8rg pic.twitter.com/yvOm2eJjZ7窶? WEST KUN (@xfj37) 2017年12月10日
ムービングライトやレーザーの派手さに目が行きがちですが、会場じゅうに張り巡らされたLEDテープに注目。
体育館を完全に異空間にしているのがよく分かりますよね。
会場のテンションを揺さぶるには、このように「空間を巻き込んだ照明効果」が必要です。
照明機材の活用と言うと、どうしても「サスバトン」「ホリゾント」といった舞台の内側のことばかり考えがちですが、
特に学校にありがちな体育館舞台の場合、舞台の内側の照明だけでは「会場全体の盛り上がり」に限界があります。
予算も相当に必要です。
そこで、あえてLEDテープから揃えてみるのもアリじゃないかと、個人的には思うのです。
さすがに体育館をいっぱいにするには、数百メートル分のLEDテープが必要なので、予算もそれなりにかかってくるかもしれませんが……
まあ、そういう考え方もあるんだなという程度に、頭に入れておいてもらえれば。
※LEDテープは明るさ的にあくまで「見せ明かり」だと思ってください。照明としての役割、つまり「人を照らす明かり」「地明かりの代用」のようなことを考えるとガッカリします。
コメント